相続コラム

「2011年9月」のコラム

相続人が受け取る生命保険金は、

その人の固有財産であり、相続財産ではありません

従って遺産分割協議の対象とはなりません。

 

例えば、

父親が亡くなり、相続人が子二人(長男Aと次男B)である場合において、

父が生前に「Aを受取人とする」100万円の生命保険を掛けていた、

というケースがあったとします。

 

この保険金100万円はAのものですので、

Bが「俺にも半分よこせ」とジャイアンのようにゴネたところで、

どうしようもありません。  保険会社も許してくれません。

「保険金はAとBがそれぞれ半分ずつ取得する」

という遺産分割協議書は無効ですし、そもそも有り得ません。

 

しかしそれでもBの心は不満だらけでしょうし、

Aも穏便に解決したいところでしょう。

ですので、現実的な解決方法として、例えば他の相続財産で調整します。

 

保険金以外に、父親の遺した預貯金が500万円あった場合。

 Aの取り分 {(500万円+100万円)÷2}−100万円=200万円

 Bの取り分 {(500万円+100万円)÷2}=300万円

という風に預貯金を分割すれば、

Aの取り分は預貯金200万円と保険金100万円を合わせて300万円、

Bの取り分は預貯金300万円、ということで、Bは納得するでしょう。

現実的に、このような方法で遺産分割するケースが多いです。

 

あと他にも代償分割の手法を用いるケースもありますが、

長くなりますので割愛します。

 

でも、もしかしたら、

亡くなった父親が長男Aにのみ生命保険を掛けていたのは、

何らかの理由があったのかもしれません。

「今後の祭祀を引き受けてもらうための資金として」

「今まで身辺の介護をしてくれたので、そのお礼として」

など。

そのような想いを込めて、もしかしたら

Aの取り分は預貯金250万円と保険金100万円を合わせて350万円、

Bの取り分は預貯金250万円、という遺産分割が父親の願いだったのかも。

 

しかしそのような場合であっても、遺言がなければどうしようもありません。

あくまでも推測は推測でしかないのですから。

これを読んで下さっている貴方がもし父親の側だったとしたら、

死後に遺された子供たちが紛糾しないよう、

全てを今一度見直された上で、相応の対策を講じた方がよろしいでしょう。



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