相続コラム

「2012年5月」のコラム

ご相談にいらっしゃる方のお話を伺うと、「とてつもなくバカ高い相続税がかかってしまうのではないか」と思い込んでしまっている方が非常に多いです。


そこで私がざっくりと試算して「実際はこれぐらいですよ」と提示すると、「そんなに安いんですか!?」と皆さん驚きます。


相続税の計算方法について、簡単に説明してみます。


具体例。父親が亡くなりました。

財産の額は1億円。

相続人は妻と子2名。


まずここで、財産1億円に対して税率何十%かかる、と勘違いする方がいらっしゃいます。それは間違いです。落ち着いて下さい。


まず、財産1億円から、基礎控除額を差し引きます。

この事例での基礎控除額は、

 5,000万円+1,000万円×相続人3名=8,000万円

ですので、1億円−8,0000万円=2,000万円。


ここでまた「2,000万円に対して税率何十%!!!」と驚く方がいらっしゃいます。落ち着いて下さい。


この2,000万円を、民法の法定相続分通りに各相続人が相続したものと仮定し、それらに対してそれぞれ別々に相続税を計算するのです。これをご存じでない方が非常に多い。


母 2,000万円×1/2 = 1,000万円

   1,000万円×10%=相続税100万円

子1 2,000万円×1/4 = 500万円

   500万円×10%=相続税50万円

子2 2,000万円×1/4 = 500万円

   500万円×10%=相続税50万円


上記相続税の合計は、100万円+50万円+50万円=200万円。

つまり財産1億円に対して200万円の相続税しかかからないのです。

ついでに言いますと、上記相続分通りに遺産分割するのであれば、母の取得分については配偶者控除の適用になり税額ゼロとなりますので、実際の税額は子の分のみ、つまり50万円+50万円=100万円だけで済みます。


ですから、まずは落ち着いて相談に来て下さい。


父の残した財産が1億円、と聞いただけで、何千万円も相続税がかかるのではないか、と想像してしまう方が非常に多いのです。我が国の納税制度はそこまで非情ではありません。


なお、相続税額を簡易的にシミュレーションできるサイトがあります。


相続税・贈与税の総額試算コーナー



TKC全国会 資産対策研究会 (私も加入しております)のサイトから行くことができます。どうぞご活用下さい。



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生前贈与のご相談にいらっしゃるお客様の相談内容で意外と多いのが、

「毎年一定額を贈与すると贈与税が高くなるのでしょうか?」

というものです。

 

これは俗にいう「連年贈与」というものです。

具体例を挙げます。

AがBに対して、毎年200万円ずつ、5年間に渡って現金を贈与したとします。

毎年課せられる贈与税は、(200万円−基礎控除額110万円)×10%=9万円。

5年間の贈与税額の累計は、9万円×5年=45万円。

 

ところがどっこい、税務署が「これは連年贈与ですね!」と認定すると・・・、こうなります。

AはBに対して当初「1000万円を贈与します。ただし一度に現金を渡すのではなく、5年間の分割払いとします。」という約束をした。この約束をした時において、AからBに対する1000万円の贈与が成立している。その際に課せられる贈与税は、(1000万円−基礎控除額110万円)×40%−125万円=231万円(!!!)。

実に186万円の税額増加、となってしまいます。

 

多くの方はこのように数年に渡って贈与することを検討してらっしゃいますので、「税務署に連年贈与と認定されてしまったらどうしよう?」と心配してしまうのです。

たしかにインターネットを検索すると、次から次へと「連年贈与は危険ですよ!」という記事が多く出てきます。果たしてどうなのでしょうか?

 

結論から申し上げますと、(これは私個人の実務的感覚ですが)そこまで神経質に思い悩む必要はないのではないかと思います。

まず上記の具体例において、「当初において連年贈与の約束が成立した」と税務署がどうやって立証するのでしょうか?これは実務上極めて難しいと思います。

そもそも、このような贈与をする人同士の人間関係は、大抵が親子などの身内関係です。つまり気の知れた仲なので、約束事に対して非常にアバウトです。覚書などの書面なんてまず交わさないでしょうし、「来年以降?ああ、カネがあったらくれてやるけど、その時になってみないと分からんよ。ワハハッ。」という程度のテンションではないでしょうか。

これが第三者同士だと話は全く違ってきます。当然覚書などの書面をしっかりと交わすでしょうし、その書面通りに契約が履行されなければ裁判沙汰になってもおかしくありません。でも、身内同士でそんなことがあり得るでしょうか。

 

このようにアバウトな認識に基づくアバウトな契約履行に関して、「連年贈与!連年贈与!」と躍起になって手間をかけて課税しようとするほど税務署はヒマではないでしょうし、仮にそうしようとしても実際に課税できる可能性は極めて低いのではないかと思います。

ですので私は、「そこまで神経質にならなくてもいいですよ。毎年、そのときにお互い話し合って、そのときの実情に合った贈与をすれば大丈夫ですよ。」と答えてます。

 

連年贈与は、確かに「教科書」的にはアリです。

しかし世の現実は教科書通りには動きません。

現実、連年贈与で課税される可能性は限りなくゼロに近い、と私は思います。



下記の通り、


北広島市にて出張無料相談会を開催します。



【 北広島市 相続無料相談会開催のお知らせ 】



日時: 平成24年5月26日(土) 9時半〜16時


場所: 北広島市ふれあい学習センター 夢プラザ



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相続問題は早めの相談、早めの対応が大切です。

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まずはお気軽にご相談ください。



【ご予約受付窓口】

 札幌駅前相続サポートセンター

 フリーダイヤル 0120−973−813

 (電話受付時間 月曜〜金曜 9:00〜18:00)




なお、


先月21日に江別市民会館にて開催された出張相談会は、


かなり早い時期に午前中の予約相談枠が埋まり、


当日はほぼ満員状態でございました。


今回も同様の事態が予想されますので、ご予約はお早めにお願いします。



ご相談内容に応じて、


弁護士税理士司法書士のうち


最も相談内容に適切な有資格者が対応させて頂きますので、


ご予約の電話にて、相談内容を出来るだけ詳しくお伝え下さい。



今後も江別市・北広島市、それぞれ1ヶ月おきに開催する予定です。


皆様のお越しをお待ち申し上げております。



普段は極めて温厚な私ですが、たまにはイラッとくることもあります(笑)。

その最たるものが、金融機関の窓口での対応ぶりです。

 

相続の手続きは普段あまり滅多に行われないものなので、その支店(またはその金融機関)によって、慣れ不慣れのレベルの差が著しく現れてしまうのです。

私の経験上、特に顕著なのは郵便局。意外と思われるかもしれませんが、郵便局での相続手続き業務のレベル差はかなり激しいのです。どこかはあえて書きませんが、私が本当に信頼できる局は、近所ただ一つの局だけ。ゆうちょの手続きで郵便局に行く必要があるときは、必ずその局に行くことにしてます。そこ以外の局の多くは相続実務が不慣れで、とても時間がかかってしまったり、的外れでトンチンカンなことをされてしまったりするからです。

 

一般銀行の場合、支店というよりは銀行レベルでの差が激しいような気がします。私の経験上、都市銀行はさすがにどこも慣れております(一つだけ、某○○○銀行の札幌支店は少々不慣れな印象をたまに受けますが・・・)。

相続センターで一括手続きを取る体制を構築している某地元地銀もなかなかの高レベルです。それ以外の銀行、信金は・・・正直、その担当者によってかなり業務レベルの差が激しい印象を受けます。

 

これはひどいなぁ、と感じるのは、被相続人の取引支店が遠方にある場合です。相続人の立場としては、その相続人の最寄の支店で代理手続きをして欲しい、と思うのは当然なのですが、その金融機関(とくに信金・信組)によっては「その支店でないと手続きは一切出来ません」と冷たくあしらわれてしまい、仕方なく私が依頼を受けてその遠方の支店まで手続きをしに行くことがあります。これは何とかならんもんか、と思ってしまいますが・・・。

 

このように金融機関の対応が冷たいのは、理由があります。単なる手続きは一銭にもならないからです。手数料収入が取れるわけでもないし、下手すれば全額解約されて他の銀行に移されてしまいます。業務としての面白みが無いのです。でも、ここは考え物だと思うのですが。ここで誠実な対応をして信頼を勝ち取れば、新たな取引拡大に繋がる可能性は大きいはずです。そこに気付いた都銀や某地銀は、相続センターを立ち上げるなど誠実な体制を構築しているのです。

 

このように、銀行手続き一つをとっても、相続の手続きというものはなかなか奥が深く大変なものです。



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