相続コラム

「2012年6月」のコラム

相続税の対象となる人はそれなりの財産家でありますから、美術・骨董のコレクターである(あるいは一つや二つを所有している)ことは決して珍しいことではありません。


そして当然ながら、これらの美術品等も相続財産となります。


ではどうやって評価すればいいのか、と申しますと、まず財産評価基本通達では次のとおり定められております。


財産評価基本通達135(書画骨とう品の評価)

書画骨とう品の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。

(1) …(省略)…

(2) …(省略)… 売買実例価額精通者意見価格等を参酌して評価する。


上記のとおり、「売買実例」または「精通者(つまり画商など、その道のプロ)の意見」を参考にして評価しなさい、ということになっております。


さて、こういうことに造詣の深い方は多くいらっしゃるのでしょうが、少なくとも私(前島)自身は全くのド素人です。美術品の売買実例なんてものを調べる術はありませんし、結局のところはプロの画商さんにお願いすることになります。鑑定経験の豊富な画商さんに、亡くなった人の家まで来て頂き、家の中を全て洗いざらい見て頂きます。


「ああ、これは価値がないから評価する必要ありませんね」

「これは誰の作品か全く分かりませんね、評価する必要はないでしょう」

「この焼き物は刻印がありますね、店に戻ってから価値を調べてみましょう」

「この作品はとても人気ありますよ、高い評価になりますね」


さすがはプロ、見事なものです。

そして最終的には評価書を書いて頂き、税務申告の際にそのコピーを申告書に添付して提出します。


さて、この評価額、果たして税務署はそのまま納得して受け入れるのでしょうか?


答えを申し上げますと、受け入れることもありますし、受け入れないこともあります。


例えば、税務署は税務署で、独自に「美術年鑑 」などを引っ張り出して独自に評価額を算定したりします。


「この作家の作品は、美術年間では○○○万円の価値となっているのに、この申告書に添付された評価額はたったの○万円となっている。評価額を意図的に減らして脱税しようとしたのではありませんか?」「被相続人がこの作品を購入した際には○○○○万円を支払っているのに、なんでこんなに評価が下がるのですか?いくらなんでも下げ過ぎではありませんか?」


これに関する私の答えは次のとおりです。


「私はド素人です。あなた(税務署の調査官)もド素人でしょう。美術年間やら何やら引っ張り出して、あなたなりに一生懸命調べたのでしょうが、所詮は素人が易々と評価できるものではありません。こういうことは、まず何よりも精通者の意見を尊重すべきではないでしょうか?」


それでも税務調査官が納得しなければ、最終的にはその評価した画商さんに登場してもらいます。

(こういう展開になる可能性がありますので、ここまで責任もってフォローして頂ける画商さんに鑑定評価していただくことが何よりも重要です)


画商さんは画商さんなりに、プロの目で評価したのですから、


「美術年間ではそういう評価になっているかもしれませんが、今は不景気で美術品全体の需要が急落してますので、とてもそんな値段じゃ売れません。」

「ここにキズ、カビ、歪みなどがありますので、通常の値段よりも下がります。」


というような感じで論破して頂きます。



いずれにしても、まず押さえておかなければならないことは、まず美術品の類は現金や不動産と同様、立派な相続財産であること、必ず財産目録に加えて相続税申告の対象とすること、きちんと鑑定評価してもらうこと、です。


税務署は税務署で、例えば百貨店の外商さんとの取引、美術館などでの売買実績などを独自ルートで押さえているようなので、「この人はこれだけの美術品を所有しているようだ」という情報はそれなりに掴んでいるようです。ですので決して疎かにしてはいけません。



日本経済新聞記事より抜粋です。


「民主、自民、公明3党は15日夜、社会保障と税の一体改革関連法案をめぐる修正で合意した。・・・


・・・(中略)・・・


所得・相続増税は年末の来年度税制改正論議に結論を先送りした。・・・」



消費税の増税ばかりがニュースになっておりますが、相続税の増税(基礎控除額の引き下げ・税率の引き上げなど)についても同時に実施すべく議論されておりました。


が、またまた先送りとなったようです。


このあたり、与野党の間で一体どのような政治力学が働いているのか、政治に疎い私にはよく理解できないのですが、とにかくそういうことで合意したようです。

先送りになっただけで、廃案になったわけではありませんので、引き続き動向を注視する必要があることは言うまでもありません。

ご相談にいらっしゃるお客様の中には「もうとっくに基礎控除額が引き下げられた」ものと勘違いされてらっしゃる方が少なくありません。まだ議論中の段階ですのでお間違えなきよう。



6/9日本経済新聞記事より抜粋します。

 

「自民党は8日、社会保障と税の一体改革関連法案の修正協議で、同法案が定める所得・相続増税の議論を、年末以降に先送りするよう民主党側に求める方針を固めた。・・・

 

一体改革法案は所得税の最高税率について、2015年分から現行の40%を45%に引き上げるほか、相続税も15年1月以降の相続を対象に最高税率を50%から55%に高めることを明記。消費増税で低所得層の負担が増えるのを踏まえ、富裕層への課税強化で国民の理解を得るのが狙いだ。・・・

 

自民党が所得・相続増税の議論の先送りを要求するのは、富裕層への課税強化を巡って党内の意見がまとまっていないためだ。修正協議を急ぐには、議論の棚上げが必要と判断した。野田毅税制調査会長は8日の税調会合で「消費税以外は年末の来年度税制改正で議論すればいい」と述べた。・・・」

 

というわけで、またまた先送りのようです。

上記はあくまでも野党である自民党の要求内容ですが、今や与党である民主党は、自民公明の助力なしでは主だった法案を通せない状況にありますので、この自民党の要求がそのまま通る可能性は高いです。

つまり、相続税の増税(基礎控除額の引き下げ+税率の引き上げ)に関する議論は、来年度の税制改正案に先送りされるかもしれない、ということです。

引き続き注視していきましょう。



下記の通り、


江別市にて出張無料相談会を開催します。



【 江別市 相続無料相談会開催のお知らせ 】



日時: 平成24年6月23日(土) 9時〜17時


場所: 江別市民会館



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【ご予約受付窓口】

 札幌駅前相続サポートセンター

 フリーダイヤル 0120−973−813

 (電話受付時間 月曜〜金曜 9:00〜18:00)




なお、先々月・先月に江別・北広島両市にて開催された出張相談会は、


かなり早い時期に午前中の予約相談枠が埋まり、


当日はほぼ満員状態でございました。


今回も同様の事態が予想されますので、ご予約はお早めにお願いします。



ご相談内容に応じて、


弁護士税理士司法書士のうち


最も相談内容に適切な有資格者が対応させて頂きますので、


ご予約の電話にて、相談内容を出来るだけ詳しくお伝え下さい。



今後も江別市・北広島市、それぞれ1ヶ月おきに開催する予定です。


皆様のお越しをお待ち申し上げております。



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