相続コラム

「2013年7月」のコラム

Aさんが、生前に「Bさんに現金100万円を相続させる(遺贈する)」という内容の遺言を作成した、とします。


Aさんが先に亡くなった場合は、特に問題なくこの遺言が執行されるのですが、もしBさんが先に亡くなっていた場合は一体どうなるのでしょうか?


お詳しい人であれば、「Bさんの代襲相続人(つまりBさんの子など)が代わりに受け取るんじゃないの?」と思うでしょう。

しかし、そうではありません。

このような場合、代襲という概念は適用されません。


Bさんが受け取るはずだった財産は、遺言の対象外となり、各相続人で遺産分割協議をすることになります。


面倒ですね。


この対処法として、例えば遺言に次のような文言を追加で記載する方法があります。


「私よりも先にBさんが亡くなった場合には、その財産はBさんの子であるCさんに相続させる」


このように、遺言というものは、起こり得る様々なケースに対処できるよう知恵を絞る必要があります。

安易な気持ちで書いてしまうと、遺族に余計な手間をかけさせてしまうこともあります。


実務上、自筆証書遺言でこのようなケースに遭遇することが多いです。

専門家に相談のうえ、文面を練りに練ったうえで公正証書遺言にするのが最も無難です。



数多い相続手続きの中でも、間違いなく最も厄介な部類に入る存在。


それが、いわゆる「名義借り」財産です。

その名の通り、他人の名義を借りて形成された財産のことをいいます。


実例として最も多いのは、やはり何と言っても郵便貯金です。

故人が、生前において、孫名義や甥姪名義など沢山の名義借り貯金口座を開設し、それらの口座に残高を移し替えていた、というケースは結構見受けられます。


故人が勝手に口座を名義借りしたのですから、民法上の贈与には該当しません。

つまり、その故人が遺した相続財産、ということになります。

じゃあ相続人が解約手続きを・・・、と簡単に済む話ではないのです。


窓口の担当者は「その名義人でないと解約手続きはできません」と突っぱねるからです。


では、どうすればよいか。

結論から申し上げると、その名義人ご本人に登場して頂くしかありません。

その名義人自ら解約手続きをするか、あるいは相続人が、その名義人から委任状をもらって手続きを代行するか、のいずれかになります。


(その名義人が強欲な人で「俺の名義なんだからこの口座は俺のもんだ」と主張されてしまうと話はややこしくなりますが。。。それはさておき)


さて、もっと面倒なケースがあります。

その名義人が、現実に存在する人ではないケースです。

故人が、テキトーに思い付いた名前で口座を開設していた、という事例がまれにあります。


何でそんなことしたの?

と言われても、その故人が行った行為ですから、何とも分かりようがありません。


このようなケースは、正直お手上げです。

諦めて放っておくか、場合によっては法廷で争うしかないでしょう。


郵便局に知り合いがいて、その人が何とかしてくれた・・・。

という話もたまに聞きますが、最近はコンプライアンスが厳しい時勢ですから、そう簡単にはいかないでしょう。


というわけで、本日の結論です。

名義借り預貯金は、遺族にとって迷惑以外の何物でもありません。

お早目に整理しておくことをお勧めします。



生前贈与のご相談にいらっしゃるお客様から、ほぼ必ず次のようなご質問を受けます。


「先生、毎年同額の贈与を継続すると危険だ、って色々なサイトに書いてますけど、本当ですか?」


確かに、インターネットで「連年贈与」とググると、出るわ出るわ。

よくもまあ、こんな妄想をまき散らす輩が多いもんですなぁ。


はっきり断言しますが、現実問題として、税務署が連年贈与を認定課税するのは不可能に近いです。


連年贈与とは。


例えば、親が子に対して100万円の贈与を10年間続けた、とします。

普通に考えれば、年間110万円の贈与税基礎控除の範囲内の贈与なので、贈与税はかからない、ということになろうかと思いますが、ここでお上(税務署のことです)が桜吹雪の入れ墨をちらつかせて登場し、


「おうおう、これは最初の時点で『1000万円の贈与をします。お金は10年間分割払いします。』という贈与契約を親子間で交わした、ということじゃねぇかよぉ。つまり1000万円の贈与だ。大人しく贈与税を払いやがれ。」


と言って贈与税を巻き上げる、という類のものです。


でも、これって、どう考えても現実有り得ないでしょう。

まず最初の時点で「1000万円の贈与契約が存在した」ことを立証するのが難しい。

そんなウソっぽい契約を書面で交わす馬鹿正直な親子なんて、この世に存在するのでしょうか?


毎年毎年、その都度「今年も100万円贈与しましょうね。」と双方意思確認をし合い、改めて100万円の贈与契約を履行する、というのが普通でありましょう。

(契約を履行、と大層な文言を使いましたが、口約束であっても契約は契約ですので)


銀行さんとか、新米の若手税理士さん(まあ私も若手っちゃ若手ですが・・・)とか、必要以上に不安を煽り過ぎてやしませんか?


だから大丈夫ですよ、・・・と、私はご相談にいらっしゃるお客様に、説明し続けているワケです。

一体今まで何百回、この説明をし続けたことでしょう。

あーもう疲れた。


インターネット上で氾濫する情報は、必ずしも正しいとは限りません。

情報過多の世の中、皆さんよくよく注意しましょうね。



お陰様で沢山のご応募を頂戴しておりますが、まだ若干の空席がございますので、再度お知らせします。


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