相続コラム

「2013年10月」のコラム

「亡くなった父の貸金庫を開けてみたら、数千万円の札束が入ってました。どうすればよいのでしょうか?」


信じられないような話ですが、相続税申告の事案を数多くこなしていれば、こんな話は全然珍しくありません。

なぜそんな札束が入っていたのか、それは亡くなったご本人しか知る由がありません。


まずこの札束が誰に帰属する財産なのか?ということが論点となりましょうが、仮に「誰々から預かっていたものである(まあまず有り得ませんが・・・)」というような確たる証拠でもない限り、その貸金庫の名義人、つまり故人に帰属するもの=相続財産として考えるのが最も妥当でありましょう。


「この札束、なかったことにしてもらえませんか?」

と言われることも多いのですが、私は税理士の立場として


「いや、税務署の調査能力は抜群ですから。例えば貴方が貸金庫から札束を抜き出した場面は、銀行の防犯カメラにしっかりと映っていると思いますし、税務署の調査官にその映像をチェックされたらもう最悪ですよ。ここは正直に申告した方が無難です。」

と申し上げるなどして、理解して頂くようにしております。


きちんと申告して、払うもの(相続税)を払えば、残りは全て相続人のものになるのですから。



相続財産は、現預金や不動産など、いわゆる「正の財産」ばかりではありません。

銀行ローンなどの「負の財産」もあります。


病院の入院費、光熱費など、本人の死亡後に発生する細かい支出も負の財産の一部ではありますが、金額的にはやはり銀行ローンが最もインパクトが強いものでありましょう。


団信保険というものがあります。

そのローンに団信保険が付されていれば、本人の死亡と同時にローンは消滅しますから、何の心配もありません。しかし、団信保険が付されていなければ、そのローンは本人の死後も残り続けます。つまり相続財産として、相続人の誰かが負担し続けることになります。


遺産分割協議において、複数の相続人のうち、例えば長男がそのローンを承継する、というような協議をすることは勿論可能です。

しかし、ローンというものは、相手(つまり債権者)が存在するものです。

その分割協議内容に対して、債権者が首を縦に振らなければ、その協議内容は事実上有効とは成り得ません。


つまりどういうことかと言いますと、債権者つまり銀行側の判断次第によっては、そのローンを相続人全員が法定相続分割合に基づき承継することになる可能性がある、ということです。


ただし現実的には、銀行側もその辺の問題は融資審査の段階である程度は検討しておりますので、例えば「いざという時にはこの人にローンを承継して貰いたい」という人(もちろん将来相続人になるであろう人です、例えば配偶者、長男など)に連帯保証人になってもらい、本人死亡時にはその保証人が承継する、という感じでスムーズに事が運ぶことが多いです。


が、上記のような事前対策が全くとられていないケースも散見されます。

そのような場合には、あらかじめ銀行側と話し合い、事後の対応策を整理しておく必要があります。


負の財産の相続は、正の財産よりも慎重に考える必要があります。



空前の相続ブームです。

雑誌類の相続特集などが世を賑わせております。


「相続」を「争族」と読み替えるなど、まるで遺産争いをわざわざ煽るかのような勢いです。


しかし全ての相続が「争う」わけではありません。

円満に進む相続だって数多くあります。

そもそも、なぜ相続で争いが起こるのでしょうか?


私の拙い経験上、争いの根本的原因は、その大部分が次の二つに集約されます。


1.親の子に対する「愛情」「金銭的援助」が不平等だったケース

例えば、長男と次女を溺愛し、長女にはさほど愛情を注がなかった場合。

長女の心には深いしこりが残り続けます。

「兄と妹はあんなに愛されていたのに、なぜ私は愛されなかったの?」


他の事例としては、長男だけが私立大学に進学し、長女と次女は高卒のまま就職した場合。

長女と次女は、こう思い続けるでしょう。

「私たちだって、大学に通って学生生活を満喫したかったのに。」


このような不平等感が、相続時に顕在化します。

「せめて遺産をたくさん分捕らなければ、私の気持ちは永遠に収まらない。」

と。


2.遺族の誰か(あるいは全員)が金銭的に困窮しているケース

あえて多く説明するまでもないでしょう。

職が無い、あっても給料が安い、子が進学して仕送りが厳しい、家のローンが払えない。

そのような状況で遺産相続の話が舞い込んで来たら、まず大抵の人は目の色を変えて飛び付きます。


もちろん他にも色々あります。

例えば自社株式、不動産など特定の資産を巡る争いなど。

しかし殆ど大部分は、上記二つが原因で争われるのではないかと思います。


親の立場で身に覚えのある方は、ぜひ今のうちから対策を講じておきましょう。

法的な対策としては、生前贈与や遺言など。

あるいは我が子全員に対して今一度、心を通わせてみることも大事です。



業務拡大に伴い、若くてやる気溢れる優秀なスタッフを若干名募集します。


税理士法人North Active Innovation

採用情報



弊社は、札幌市中心部(地下鉄大通駅徒歩1分)にオフィスを構えており、弁護士法人・司法書士法人と共に総合ワンストップサービスを展開しております。

弁護士・税理士・司法書士・行政書士が常時在籍し、ほぼ全てのご相談を一箇所にて承る体制を整えております。


スタッフの教育訓練制度(外部研修など)も充実しており、実務能力を着実に磨くことができます。


会社設立など創業に関する支援業務、相続税申告など資産税業務が増加しており、今回募集している次第でございます。


我こそは、と思わん方は、まず履歴書及び職務経歴書を弊社にご郵送ください。

書類選考のうえ、追ってご連絡差し上げます。


沢山のご応募をお待ち申し上げております。



このページの先頭へ戻る