相続コラム

「2013年11月」のコラム

特に男性が亡くなった場合、相続財産のなかに自家用車があることが多いです。


まずその時価評価ですが、実務上、次の二通りが考えられます。


1.取得価額から減価償却費を差し引く。

2.中古車屋さんに「いくらで買い取ってくれますか?」と聞く。


1は何だか堅苦しいですね。

2の方が手っ取り早いですし、そのまま買い取ってくれれば一石二鳥です。

従って私は実務上もっぱら上記2によって評価しております。


今どきは新車ディーラーも中古買取を扱っているところが多いので、故人が生前馴染みのあった営業担当者に連絡してお願いしてみてもいいでしょう。


名義変更手続きについても同様です。

上記の評価を含めて、全てディーラーまたは中古車屋さんに丸投げしてお願いすればよいのです。

お抱えの行政書士さんがおりますので、全てやってくれます。


車両の名義変更手続きはさほど難しいものではありませんので、素人が自力でやることも可能です。

が、そのようなことに手間暇をかけるぐらいなら、むしろ専門の業者に丸投げして、余力を別のところに向けるべきだと思います。

何事もそうですが、「自分だけにしか出来ないこと」に全力を傾けるべきだと思います。



タイトルが少々分かり難いですが、例えば次のようなことです。


1.相続発生後の手続きに関するご相談で、相続人以外の方

  (例えば相続人の配偶者や子など)が来社される場合


2.生前対策に関するご相談で、その当事者ご本人以外の方

  (例えば当事者の子など)が来社される場合


弊社は毎月数十件の相続に関する問い合わせ電話を受けておりますが、上記のような当事者以外のご相談が非常に多くございます。


現在のところはこのようなご相談も受付けておりますが、いずれどこかの時点で(恐らく数ヶ月以内に)、当事者ご本人が来社して頂くことを大原則とし、それ以外の方が来社される場合には一定額の報酬(30分あたり5千円程度)を頂戴することを検討しているところでございます。


その理由は次の通りです。


まず相続発生後の手続きに関するご相談について。

相続手続きの当事者となるのは、相続人(または受遺者)です。

当事者同士の話し合いで、全ての物事が決定されます。

それ以外の人が話し合いに入る余地は、一部の例外(正式な委任を受けた弁護士、あるいは裁判所など)を除いてありません。

ですので、弊社が承るご相談は、相続人ご本人でないと、具体的な話が全く先に進まないのです。


そして生前対策について。

例えば遺言の作成を例に挙げますと、遺言を作成するご本人でないと話が進みません。

よくあるパターンとして、ご本人の子が「父に遺言を作らせたいのだが、どうすればよいか?」とご相談にみられることが多いのですが、子がいくら騒いだところで、当の親ご本人がその気にならなければ、どうしようもないのです。


当事者以外の方が弊社にお越しになり、我々のアドバイスを受け、それを当事者ご本人に伝えたところで、結局は又聞きですから、アドバイスした内容の繊細な部分が上手く伝わらず、結果として誤解を与えてしまう、あるいは当事者がその気にならず話が先に進まないケースが多くございます。


ですので、弊社が実施している無料相談につきましては、原則として当事者ご本人がお越しになって頂きますようお願い申し上げます。


ただし、これは「原則」ですので、当然ながら例外はございます。

例えば、遺言を作成する当事者が病を抱えて入院中であり、その世話をする身内が代理としてご来所する場合。このようなケースは事情が事情でありますので、謹んでご相談をお受けします。


ケースバイケースではありますが、柔軟的に検討させて頂くことは充分ありますので、まずはその旨ご相談下さい。



相続税の計算上、預貯金は次のとおり評価することになっております。


1.普通預金(郵貯の場合は通常貯金)

   ・・・ 相続発生日の残高


2.定期預金(郵貯の場合は定額貯金など)

   ・・・ 相続発生日の残高 + 既経過利息


上記の「既経過利息」について解説します。


既経過利息とは、「もし相続発生日に中途解約したと仮定した場合に、預金者が得られたであろう利息」のことです。

具体例を挙げます。


元本 10,000,000円

預入日 平成25年4月1日

満期日 平成26年3月31日

利率 0.1%


満期まで預入していれば、10,000,000円×1%=10,000円の利息を得られます。


が、予期せずして、この預金者が平成25年9月30日に亡くなった、とします。


もし仮に、その死亡日に定期預金を解約したとすれば。

まず、利率は0.1%とは通常なりません。

満期日前の解約なので、相応のペナルティが課されます。つまり利率が低くなります。いわゆる「解約利率」です。

解約利率は金融機関によって異なりますので各自確認する必要があります(支店窓口に聞けば教えてくれます)が、仮にこの事例では解約利率0,05%としておきましょう。


仮に解約したと仮定した場合の利息、つまり既経過利息は、

 10,000,000円 × 解約利率0,05% × 183日(4/1〜9/30)÷365日

  =2,506円

となります。


相続税の計算上、定期預金を評価する際には、この既経過利息2,506円を元本にプラスした金額、つまり10,002,506円が評価額となります。

相続発生日時点での時価を評価額とする、というのが基本的な思想だからです。


なお、これは原則として定期預金に限った話であり、普通預金などの場合は元本イコール評価額となります。普通預金の利率は非常に低いので、わざわざ面倒な計算をするまでもない、ということです。



相続のお仕事を沢山手がけておりますと、しょっちゅう登場する財産があります。


いわゆる「原野商法」で購入したと思われる土地です。


数十年前(私はまだ生まれているかいないか、の頃ですが…)に大流行したらしいですね。

「この土地は今はまだ原野ですが、これから大規模な開発工事が行われる予定です。今のうちに買っておけば、後でボロ儲けですよ!」

という手口で二束三文の土地を買わせて、結局開発工事など全く行われずにそのまま放置…。


処分するにも処分できず、そのまま所有し続け、そしてお亡くなりに…。

というパターンは正直かなり多いです。


とにかく二束三文の土地なので、固定資産税すら課されないケースが殆どです。


このような、価値がゼロに等しい土地であっても、相続財産であることには変わりありません。

どなたかが相続するしかありません。


このケースは本当に多いので、私も不動産業者さんに相談したことは何度もあります。

業者さんの回答は、「う〜ん、よくある話ですよね。でもどうしようもないです。処分しようにも買ってくれる人はいませんよ。」と、ほぼ決まっております。


市町村などに寄付しようにも、そんなもの(失礼ですが)を有難く頂戴する市町村はまずないでしょう。


今のところ、この原野商法に関する明快な解決方法は見当たらない、というのが正直なところです。

粛々と相続手続きを進め、万が一、将来本当に開発されることを祈る以外になさそうです。



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