相続コラム

「相続税」のコラム

昨年の夏頃、「遺言控除」なるものが新聞紙上を賑わせました。

「自民党の「家族の絆を守る特命委員会」は、遺言に基づいて遺産を相続すれば残された家族の相続税の負担を減らせる「遺言控除」の新設を要望する方針を固めた。遺言による遺産分割を促し、相続をめぐるトラブルを防ぐ狙いだ。...2018年までの導入をめざす。(日本経済新聞H27.7.9記事より抜粋)」

その後何の音沙汰もないので、もう自民党の間でも忘れられてるのかもしれませんし、あるいは着々と水面下で動いているのかもしれません。

発案者側の思惑がイマイチよくわからないのですが、普通に考えれば「遺産分割内容をしっかり定めた遺言を残すことによって、遺産争いを減らそう」というのが狙いなのかな、とも思えるのですが、果たしてそんな単純に減るものだろうかと思います。

いくら故人の遺志だといっても、あまりにも不公平な分割内容だと遺族間の不平不満は避けられないでしょうし、遺留分を侵害していれば結局は争いへと繋がります。

また例えば遺言に記した財産に漏れがあったりすると、その漏れた財産は分割協議しなければなりませんので、あまり意味がなくなることがあります。

遺言を残しておけば万事OK、というのはさすがに短絡的です。
よくよく内容を吟味したうえで、専門家の助言を得ながら作成すべきです。


前回は「サイン証明(署名証明)」について説明しましたが、
今回はもう一つの書類、「在留証明」について。

在留証明とは、その人がA国のどの住所に住んでいるのか、
を証明するものです。

日本における印鑑証明の代わりとなるのが「サイン証明」、
住民票の代わりとなるのが「在留証明」、
こんな感じで押さえておけばよろしいでしょう。

通常、海外在留者の相続手続きにおいては、
上記二種類の書類(サイン証明は更に二種類)を取得します。

サイン証明の独立タイプ、
在留証明、
これらは各1通ずつ取得しておけば充分でしょう。

サイン証明の貼付割印タイプは、遺産分割協議書に貼付します。

私の地元、北海道を例に挙げると、例えば小樽や室蘭など。
平地が少なく、山を切り開いて住宅街が無理やり(?)立ち並んでいるケースがよく見られます。

「よくこんな急斜面に頑張って家を建てたなぁ…」と感心することも多いです。

そのような場所は、当然ながら一般的な平地と同じような評価にはなりません。

国税庁HPをご覧になると理解し易いです。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hyoka/03/20.htm

相続税の世界では「がけ地」という言葉で表現します。

そのがけ地が、土地全体の何割を占めているのか?
また、東西南北どの方角を向いているのか?

これらを加味した上で、一定の補正率を乗じて評価を減額します。

このように、相続財産の評価は様々な決まり事があります。
これらを最大限に活用することによって、評価額をできるだけ減らし、余計な税金を支払わないようにするのが申告業務のコツです。


相続税はいくらかかるんだろう?
と心配になり、自分で簡易的に計算するのは良いことだと思いますが、
多くの方が計算方法を勘違いしてらっしゃいます。

具体例を挙げましょう。
1億円の財産で、相続人が配偶者と子2名だとします。

相続人の数は3名なので、
基礎控除額は3,000万円+600万円×3名=4,800万円

財産1億円から4,800万円を差し引いた残り5,200万円が課税対象。

ここまでは大体皆さん合ってます。
間違いが多いのはここからです。

【国税庁】相続税の税率
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4155.htm

5,000万円〜1億円の間なので、いきなり30%を乗じてしまう方が非常に多いのです。

そうではなく、5,200万円を法定相続分で割り、それぞれに対して税率を乗じるのです。
上記の例でいいますと、

配偶者
 5,200万円×二分の一=2,600万円
 2,600万円×15%−50万円=340万円

子2名
 5,200万円×四分の一=1,300万円
 1,300万円×15%−50万円=145万円

上記を合計すると税額630万円、これが正解です。
あとはこの630万円を、実際の遺産分割割合に応じて各人に配分するのです。

初回の面談打合せでパパッと計算すると「あれ、思ってたほどの額じゃなかった、よかった」と安堵される方が多くいらっしゃいます。

ご不安な方、まずは早めにご相談下さい。

相続税の税務調査で、税務署の調査官が必ず聞いてくることがあります。

「故人の生前のご趣味は何でしたか?」

実はこれ、非常に重要なことなのです。
何故かと言いますと、

ゴルフが趣味であれば「ゴルフ会員権」
茶道が趣味であれば「高価な茶道具」
美術が趣味であれば「高価な美術品」
クルマが趣味であれば「高価な外車」
競馬が趣味であれば「競走馬の出資」

このようなものが相続財産として漏れている可能性があるからです。
今時のゴルフ会員権は時価評価が下がっているので大した問題にはならないかもしれませんが、競走馬の出資などは結構な額になる可能性があります。

税務調査は通常、何気ない世間話から始まります。
世間話の途中で上記のような話題が出るので、納税者側はつい油断してベラベラ喋ってしまうことがあります。


もちろん、その時になって申告漏れを指摘されないよう、当初の申告でそのような財産をきちんと計上しておくべきなのは言うまでもありません。

このページの先頭へ戻る