相続コラム

「2015年1月」のコラム

不動産所有方式の注意点、その3です。

オーナー個人所有の既存物件を会社名義に変更する場合に発生する費用について。

少なくとも以下の費用は必ず発生します。

・不動産取得税
・名義変更にかかる登記費用(登録免許税、司法書士報酬)

上記が具体的にいくらになるかは、その物件の固定資産税評価額によりますので一概には言えませんが、まあそれなりの(ケースによっては目玉が飛び出るぐらいの)金額になる可能性はあります。

ほかにも発生する可能性があるものとして、

・不動産鑑定士の鑑定料

があります。
資産の売買は時価で行うのが大原則でありますが、身内や同族会社との間で行う取引はその辺が非常にルーズになりがちです。
通常の時価よりも高いor安い価格で取引してしまうと、税務上デメリットが生じる可能性があります。
ですので、不動産鑑定士の評価(お安い簡易的な評価で充分です)をお願いして、適正な時価を算定することをお勧めします。

また、不動産の譲渡に伴い譲渡益が発生する場合には、譲渡所得税(+確定申告を税理士にお願いする場合にはその報酬)が発生します。

これらのコストを事前に吟味した上で、移転すべきかどうか判断しましょう。

不動産所有方式の注意点、その2です。

新築物件はともかくとして、既に所有している物件を法人に移転させることの是非について。

その物件が高収益であれば、法人名義にすることを検討する余地は充分あります。
法人の株主を子や孫にしておくことによって、その物件から生じる収益を株主に帰属させることができる、つまり財産価値を無税で世代飛び越えさせることができるからです。

ただし、10年あるいは20〜30年の長期的スパンで考えれば、の話です。
短期的スパンで考えますと、オーナーさんの所有する不動産が法人に移転することの見返りとして、その法人から決済資金(決済されない場合は未収債権)を受け取ることになりますので、オーナー個人の財産評価額は上がってしまいます。

決済資金や未収債権は元本の額イコール評価額となります。
不動産は固定資産税の評価額や路線価を元に評価しますし、更に借地権や借家権の減額、小規模宅地特例の適用なども使えますので、実際の時価よりも低い評価額を適用できます。

財産を組み替えてしまう(不動産→現金・債権など)ことによって、将来の相続税が増えてしまうことになります。

ですので無理せず、長期的スパンでシミュレーションした上でじっくり検討されることをお勧めします。

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