相続コラム

「2015年6月」のコラム

隠し財産の多くは、いわゆる金融資産です。
例えば銀行の預貯金であったり、投資信託であったり、株式であったり。

隠しようが無いのですが、
あえて隠すとすれば、例えば以下の方法が考えられましょう。

1.他人の名義に移し替える
2.現金または純金を自宅の床下、屋根裏などに隠す

上記のうち2は非常にドラマチックなものであり(?)
確か映画「マルサの女」の衝撃的なラストシーンでも使われてましたし、たまに新聞や雑誌のネタとしても使われてます。

ただ実際のところは1が大部分を占めるでありましょう。
いわゆる「名義預金」というもので、相続税における最重要論点として、見解の相違から裁判にまで発展することも多いです。

ところで税務署は一体どのような手法でこのような隠し財産を見つけるのでしょう。

私は税務署出身ではありませんので、税務署内部でどのような仕事をしているのか間近で観察したことは無いのですが、まあ大体察しは付きます。
さほど難しいことではありません。

故人の預金取引を過去まで遡るだけ遡れば、大体は分かります。
A銀行B支店の普通預金口座から●年●月●日に1千万円引き出されている。
この1千万円はどこへ消えたのか?
よし、B支店に出向いて当時の払出伝票を確認してみよう。

このように地道な作業を続けてみれば、かなり判明されるでしょう。

税務署と税理士の大きな違いはそこにあります。
税務署は国家権限で何でも調べられますし、金融機関も協力的です。
しかし税理士はあくまでも相手方の同意の上でしか行動できませんし、仮に同意があったとしても金融機関はそこまで積極的に協力してくれません。

また別の見方から考えてみましょう。
資産家は、毎年確定申告をします。
確定申告をみれば、どの程度の財産を有しているか、ほぼ察しは付きます。
にもかかわらず、相続財産がほんの僅かしか申告されてなかったら…。
私が税務署の職員だったら、総出で故人の自宅を家探しするでしょう。

素人の浅知恵は、たいてい見抜かれるものです。
それよりも適正な申告を心掛け、税務調査による精神的プレッシャー、加算税や延滞税のペナルティ等の被害に合わぬようにした方が賢明です。

私は決して税務署の回し者ではありません。
しかし後から隠すぐらいなら、贈与や保険加入など生前対策で賢く節税を図るべきだと思います。


いきなりネガティブなお題ですが、相続において重要な問題だと思いますので、あえて取り上げました。

かつて私(前島)が独立開業後に相続手続き業務を本格的に開始した頃、信金を始めとする多くの金融機関は相続手続き、例えば代理人を通じた残高証明書発行、定期性預金の経過利息計算、他店舗での取り継ぎなど、非常に及び腰で不親切でした。

最近は少しマシになってきたかな、という気がします。
多くの金融機関が、とても親切に対応してくれます。

が、残念なことに、未だ不親切な金融機関がいくつか存在します。

「システム上、経過利息を計算することはできません」
「故人が取引していた店舗でなければ、一切の手続きはできません」

などなど。

経過利息が分からないと、相続税の財産評価に支障をきたすのですが…。

更に不思議なことに、
窓口で少しだけゴネると、最終的にはこちらの要望通りにしてくれることが多いです。
最初に「できません」と断言したのは一体何だったのか?

高齢化時代に突入し、
今後ますます相続手続きは増加することは確実な時勢です。
顧客満足最大化を目指した対応を心掛けて頂きたい、と切に願います。


不動産を相続したものの、自分にとっては必要のないものである場合は、売却して現金化するのが良いでしょう。

ただし、翌年3月15日までに確定申告して税金を納める必要があります。
収入金額(不動産の売却額)から取得費(不動産の購入費用)と譲渡費用(売却に要した費用)を差し引いた売却益に対して、所定の税率を乗じた税金が課されます。

まず取得費ですが、そもそも相続した不動産は取得費が不明なケースが非常に多いです。
と言いますか、取得費が分かるケースの方がむしろ稀です。
故人が相当前に購入したものだったり、先祖代々の土地だったり、いくらで買ったのかを確認できる資料(売買契約書)が見当たらないことが多いのです。

このような場合には、売却額の5%を取得費とみなして計算することが認められています。
たったの5%?と思われるかもしれませんが、全く何も認められないよりはマシです。

そして譲渡費用ですが、例えば次のようなものが認められます。

・不動産業者に支払った仲介料
・売買契約書の印紙代
・測量代
・土地を更地にするために建物を取り壊した費用、借家人の立退き料

また不動産を相続するための名義書換え費用(登録免許税、司法書士報酬など)は、取得費に含めることができます。ただし上記に掲げた5%ルールを適用する場合には含めることができません。

そして忘れてはならないことですが、相続税の申告期限から3年内に売却した場合には、相続税のうち不動産の評価額にかかる部分について、取得費に含めることができます(相続税額の取得費加算)。
これは少々難しい附表を確定申告書に添付することになります。
詳細は税理士にお尋ね下さい。

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